CEATEC 2026レポート(NW関連ブース・AI-Native 6Gコンファレンス)

CEATEC 2026の会場サイン。Japan Mobility Show Bizweek 2026と併催されました
CEATEC 2026の会場サイン

2026年10月13日から16日まで、幕張メッセで「CEATEC 2026」が開催されました。

今回は、Wi-Fiや光伝送、データセンターなど、通信に関わるブースを中心に回りました。

会場で気になった展示を、写真とともに少し紹介します。

後半は、10月14日に聴講した「AI-Native 6G」のXGMFセッションのレポートです。

CEATECとは?

CEATEC(シーテック)は、AIやIoT、通信、電子部品など、幅広い分野の技術やサービスが集まる展示会です。

企業に加えて、大学や研究機関、スタートアップも出展しています。

2000年にエレクトロニクスショーとCOM JAPANが統合し、CEATEC JAPANとして始まりました。

2016年からはIoTを軸にした展示会へと転換し、現在はデジタル技術を暮らしや産業でどう使うかというテーマも広く扱っています。

2026年の会期は10月13日から16日までの4日間。会場は幕張メッセで、Japan Mobility Show Bizweek 2026も併催されました。開催テーマは「Transformation —企業が、産業が、そして社会が変わる—」です。

通信分野でも、光ネットワークやNTN、AIを活用した次世代通信などに触れられます。この記事では、会場で見た通信関連ブースの一部と、XGMFの「AI-Native 6G」セッションを取り上げます。

参考:CEATEC公式・開催概要/CEATECの歩み

CEATEC 2026 NW関連ブースレポート(一部)

NICT・研究展示|空の通信から光ファイバー、半導体まで

NICT(情報通信研究機構)のブース
NICT(情報通信研究機構)のブース

NICTの出展では、次世代ワイヤレス、量子通信、サイバーセキュリティなど幅広い研究テーマが紹介されていました。

なかでも、地上・空・宇宙をつなぐネットワークの省電力制御と、ドローンに搭載する基地局の展示に注目しました。

地上・空・宇宙をつなぐネットワークの省電力化

地上・空・宇宙のネットワークを対象とした省電力制御の展示
地上・空・宇宙のネットワークを対象とした省電力制御の展示

「地球にやさしい3次元ネットワーク省電力制御」は、地上だけでなく、空や宇宙も含めた通信基盤の電力消費を抑える研究です。

NTNはNon-Terrestrial Networkの略で、衛星やHAPSなどの非地上系ネットワークを活用する考え方です。

通信エリアを広げる一方で、動かす設備が増えれば電力も必要になります。通信品質を保ちながら、設備をどう効率よく動かすかがテーマになっていました。

NICTのドローン搭載型基地局の展示
NICTのドローン搭載型基地局の展示
NICTブースに展示されていた小型端末
NICTブースに展示されていた小型端末

ドローン搭載型基地局や、小型端末の実物も並んでいました。パネルの説明とあわせて、装置の大きさや構成を見られるのは展示会ならではです。

プラスチック光ファイバーとダイヤモンド半導体

GI-POF(屈折率分布型プラスチック光ファイバー)の研究紹介
GI-POF(屈折率分布型プラスチック光ファイバー)の研究紹介
AI時代の大容量通信を支えるプラスチック光ファイバーの展示パネル
AI時代の大容量通信を支えるプラスチック光ファイバーの展示パネル

光ファイバーの研究展示では、GI-POF(屈折率分布型プラスチック光ファイバー)を紹介していました。パネルで扱われていたのは、AIデータセンター向けの高速伝送やマルチコア化などです。

NTN通信への応用を目指すダイヤモンド半導体の研究紹介
NTN通信への応用を目指すダイヤモンド半導体の研究紹介
NICT関連展示で見られた放熱デバイス。アルミ製とセラミック系の実物が並ぶ
NICT関連展示で見られた放熱デバイス。アルミ製とセラミック系の実物が並ぶ

ダイヤモンド半導体のパネルでは、NTN通信への応用に向けた研究を紹介。放熱デバイスの展示では、アルミ製やセラミック系の実物が並んでいました。

CIAJオール光ネットワークパビリオン

CIAJオール光ネットワークパビリオン。複数社の技術が集まる
CIAJオール光ネットワークパビリオン。複数社の技術が集まる

ホール8のCIAJオール光ネットワークパビリオンには、光通信の装置や部品が集まっていました。

ここではAPRESIA、1FINITY、NEC、JAEの展示を紹介します。

APRESIA|既存サービスとAPNを同じ基盤に

APRESIA SystemsのApresiaCA220。多数の光ポートを備えるネットワーク機器
APRESIA SystemsのApresiaCA220

APRESIA Systemsは、多数の光ポートが並ぶApresiaCA220を展示していました。

同社が紹介する「Apresia Flexible Optical Network(FON)」は、既存サービスとAPN(オール光ネットワーク)を同じ基盤に収容する仕組みです。

既存の設備やサービスを使い続けながら、新しいネットワークへどう移行するか。

導入する側にとって、気になる部分を扱った展示でした。

1FINITY|P300、光モジュール、N100の試作機

1FINITYのブース。光ネットワーク関連の技術を展示
1FINITYのブース。光ネットワーク関連の技術を展示
Ultra Optical System P300と1.6T Coherent Pluggableの展示
Ultra Optical System P300と1.6T Coherent Pluggableの展示
Ultra Optical System N100の試作機
Ultra Optical System N100の試作機

1FINITYの展示には、「Ultra Optical System P300」と「1.6T Coherent Pluggable」が並んでいました。

「N100 試作機」と記された装置も展示されています。

NEC|地域分散型データセンターと光ネットワーク

CIAJオール光ネットワークパビリオン内のNEC展示
CIAJオール光ネットワークパビリオン内のNEC展示
NECのWX-T(400G-TPND)展示機
NECのWX-T(400G-TPND)展示機
地域分散型データセンターとオール光ネットワークの活用を説明するパネル
地域分散型データセンターとオール光ネットワークの活用を説明するパネル

NECのブースには、WX-T(400G-TPND)の装置と、地域に分散したデータセンターを光ネットワークで結ぶ取り組みの説明パネルがありました。

NECなど5社の実証発表によると、栃木県内の事業者拠点をAPNで接続し、映像認識AIとLLMを使った解析や、光の経路を自動で最適化する技術を検証する計画です。

AIの処理を複数の拠点に分けるなら、その間をつなぐ通信も重要になります。データセンターの配置と光ネットワークを、セットで考える取り組みです。

JAE|車内のデータを運ぶ光ケーブル

日本航空電子工業(JAE)の車載AOC(Active Optical Cable)展示
日本航空電子工業(JAE)の車載AOC(Active Optical Cable)展示

日本航空電子工業(JAE)は、車載AOC(Active Optical Cable)の実物を展示していました。

車載ネットワークの高速・大容量化に対応し、将来のオール光ネットワークとの連携も見据えた技術として紹介されています。

通信事業者の設備が並ぶ中に、車載向けの光ケーブルもある。光通信が使われる場所の広がりを感じた展示でした。

IPA|AIの信頼性やサイバーセキュリティ

IPAのブース。技術を社会に実装するための基盤を紹介

IPAのブースにも立ち寄りました。出展テーマは、AIの信頼性、データや技術基盤の接続、サイバーセキュリティ、人材育成など。

機器の展示とは少し違って、技術を使うための制度や運用、人の育成を扱っていました。

ミライト・ワン|屋外や広い敷地で使うDX Wi-Fi

ミライト・ワンのブース
ミライト・ワンのブース
広い範囲への通信提供を想定したDX Wi-Fiの展示
広い範囲への通信提供を想定したDX Wi-Fiの展示

ミライト・ワンでは、広い範囲をカバーするDX Wi-Fiの機器を展示していました。

同社の出展では、少ない台数で広範囲をカバーし、イベントや工事現場などで使う用途を挙げています。

Starlinkと組み合わせた災害時の活用も紹介されていました。

広い敷地に一時的な通信環境を用意するとき、設置する機器が少なければ準備や撤収の負担も抑えられそうです。

実際の現場でどう使うかを想像しやすい展示でした。

ブースでは、AIのデータを運ぶ光ネットワークをはじめ、通信を支える装置や技術を見て回りました。

続いては、通信とAIの関係をさらに掘り下げたXGMFセッションのレポートです。

AI-Native 6G|XGMFセッション聴講レポート

AI-Native 6Gセッションの案内。通信とAIの融合をテーマとする登壇者紹介
AI-Native 6G:通信とAIの融合で知能化する次世代通信基盤

CEATECで開催された「AI-Native 6G:通信とAIの融合で知能化する次世代通信基盤」を聴講しました。

議論から見えてきたのは、通信とAIを一体で設計する次世代インフラの姿です。

ここでは、講演・討論の要点を整理し、通信インフラの設計や研究環境への示唆を考えます。

開催日時2026年10月14日(水)13:20〜14:50
会場幕張メッセ 国際会議場2F コンベンションホールA
セッションAI-Native 6G:通信とAIの融合で知能化する次世代通信基盤
共催総務省、XGモバイル推進フォーラム(XGMF)、一般社団法人電波産業会(ARIB)

モデレーター
中尾 彰宏 氏:XGモバイル推進フォーラム(XGMF)代表/東京大学 大学院工学系研究科 教授

パネリスト所属・役職
磯部 慎一 氏株式会社NTTドコモ 6Gテック部 アーキテクチャ標準化担当 担当部長
XGMF 6Gネットワークアーキテクチャプロジェクトリーダー
山本 俊明 氏株式会社KDDI総合研究所 執行役員 無線部門長/XGMF 6G推進プロジェクト サブリーダー
朽津 光広 氏楽天モバイル株式会社 イノベーションプログラム開発事業部 ジェネラルマネージャー
船吉 秀人 氏ソフトバンク株式会社 技術統括 先端無線技術統括部 統括部長
野田 真 氏エヌビディア合同会社 デベロッパーリレーションズマネージャー(AI-RAN & テレコム)

通信とAIの融合を捉える三つの視点

通信とAIの融合には、大きく三つの側面があります。

AIで通信の運用を賢くすること、通信でAIサービスを支えること、そして通信処理とAI処理を同じ計算基盤で動かすこと。

NTTドコモが示した「AI for Network」と「Network for AI」は、この双方向の関係を端的に表していました。

ネットワークの構築・保守・最適化にAIを活用する一方、ロボットやスマートグラスなどのAIサービスを通信側から支えるという考え方です。

AI-Native 6Gの方向性は、無線、伝送、計算資源、アプリケーションを横断し、サービスの要求に応じて全体を最適化することにあると捉えられます。

通信が計算資源の性能を左右する

大規模AIデータセンターでは、GPU間のデータ交換や同期に伴う待ち時間が、システム全体の処理効率を左右します。

ネットワークがボトルネックになれば、GPUの能力を十分に引き出せません。

こうした課題は、NVIDIAのAI向けネットワークに関する解説でも指摘されています。

講演では、ネットワーク設計の違いによって、計算資源の利用効率に数倍の差が生じ得るとの指摘もありました。

通信インフラの価値は、接続速度だけでは測れません。

GPUとネットワークを一体で設計し、計算資源全体の稼働率を高める視点が求められます。

AIによる無線通信アルゴリズムの自律的な探索

NVIDIAの担当者からは、AIが新たな無線通信アルゴリズムを探索する「AI Telco Engineer」が紹介され、LLMを用いて候補となるアルゴリズムの生成、評価、改良を繰り返す枠組みが示されています。

ここでの対象は、チャネル推定やリンク適応などの無線通信アルゴリズムです。

通信プロトコル全体をAIが自律的に作り替えるという意味ではなく、特定の課題について、性能と処理の複雑さを評価しながら設計を改善する研究として理解する必要があります。

KDDIからも、環境に応じて通信方式を生み出し、継続的に進化するネットワークの将来像が示されました。

実用化に向けては、性能向上と併せて、制御の予測可能性、安全性、AIに任せる範囲を検証していく必要があると考えます。

AI推論では応答時間と生成速度が重要になる

ソフトバンクの資料では、AI時代のインフラを評価する指標として、TTFT(Time to First Token:最初のトークンが返るまでの時間)とTPS(Tokens per Second:1秒当たりのトークン生成数)が挙げられました。

同社の公式解説でも、これらがAIサービスの応答性を捉える指標として説明されています。

利用者が感じる応答の速さは、GPU単体の性能だけでは決まりません。

端末から処理基盤までの通信、推論処理、結果の返送を含めた全体で評価する必要があります。

講演では、サービスの要求に応じて、推論モデル、計算資源、ネットワーク経路、無線資源を協調させる方向性も示されました。

AIの処理基盤をどこに置くか

ソフトバンクが示したTelco AI Cloudの構想では、学習向けの大規模計算基盤と、地域や基地局側に分散する推論基盤が描かれていました。

また、討論では、ロボットの処理を機体内、基地局の近く、クラウドのどこで担うべきかという問いも提示されました。

この問いからは、計算性能に加え、利用者との距離、通信遅延やそのばらつき、上り通信の容量、可用性を踏まえた配置設計の重要性が見えてきます。

用途ごとに必要な応答時間と信頼性を定め、通信と計算資源の役割分担を考えることが求められます。

周波数政策への示唆、研究・実証環境をどう整えるか

ここからは、講演内容を踏まえた筆者の考察です。

AIによる無線通信技術の探索を進めるには、シミュレーションに加え、実際の電波環境で検証できる場も重要になります。

既存の周波数利用との共存を前提に、研究・実証向けの共用周波数枠を設けることも検討に値するのではないでしょうか。

安全性と干渉防止を確保し、実験の条件や責任範囲を明確にした上で、AIによる自由度の高い探索を認める仕組みがあれば、既存の設計思想にとらわれない技術の検証につながると考えます。

通信と計算を一体で最適化する時代へ

今回のセッションを通じて、AI時代の通信インフラには、高速・大容量の接続に加え、AIをどこで動かし、どうつなぎ、限られた資源から必要なサービス品質を引き出すかという設計が求められると感じました。

通信と計算資源を統合し、サービス全体を継続的に最適化する能力が、次世代通信基盤の競争力を左右します。

技術の可能性とともに、運用の安全性や経済合理性まで含めて検証していくことが重要です。

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